日常の一コマや感じたこと。
偏見に満ちたオタク発言とか
二次創作発言などが極めて多し。
良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
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追ってくる足音に怯えるように、男は背後を振り返る。
暗い裏路地だと言うのに、その『顔』ははっきりと見て取れた。
「――アホやねぇ。振り返る間に、一歩でも前に、進みゃ良かろうに」
くつくつと笑う声。
柔らかな少女の声。――けれど冷たくて、心臓まで抉られそうな、声。
「ひ、ひぃいいいいっ!!」
「良ぇ声や。――狩られるもんは、そんくらい、怯えてくれた方が良い」
冷たい声。無邪気な声。少女の声。柔らかい声。――心臓を抉る、声。
男は走る。
鼻緒の切れた下駄が、置いていかないでと叫ぶのを無視して、走る。走る。走る。
「そうや。走りぃ。どこまでもどこまでもどこまでも。……そしてその足が、止まった時。
――うちが、その命、確かに食ろうたる」
ゆらり、と。少女の体が揺れて、足が止まった。
男との距離が開く。少女はその背に向けて、ゆるりと右手を差し出した。
「――さ、出番やで」
少女の口角が、にんまりと上がった。
暗い暗い裏路地。
月の光も届かぬ其処に、緋色の花が咲いた――……
無血開城の維新が終わり、もう十年目。
時代というのはこんなにも早く終わるものかと。何となく感慨深いものを感じながら、
青年は開け放した障子窓から外を見る。
ガラガラと音を立てて過ぎゆくのは、二頭立ての馬車。黒塗りのそれに、ひゅう、と
行儀悪くも口笛を吹いた。
(こんな場末の道を通るとは。なんとも物好きな御貴族様も居たもんだ)
無頼の輩に絡まれねば良いがな、と。人事のように(実際人事なのだが)内心で零す。
――すたん、と背後で襖の開く音がした。
振り返ると、寝乱れた格好の少女が立っている。寝ぼけ眼で此方を見ていた。
「…これは珍しい。今日は随分と早起きですね」
「…あの『ベッド』とか言う奴…。あれ、あかん。ギシギシ煩ぅて、うちの安眠を邪魔しよる…」
がりがりと行儀悪く頭を掻きながら、少女は室内に踏み込む。
畳の上に敷いた緋絨毯。その上のソファにどかっと座り、足を組む。
「困った人だ。貴女が欲しいと駄々を捏ねるから、わざわざ取り寄せたと言うのに」
「人の所為にせんといて。大体、うちが駄々捏ねたくらいで簡単に買うたお前も悪いわ。
真の従者なら、主の我儘くらい体張って止めぇ」
「…どういう理屈ですか。…全く、僕もツイてない。貴女の様な主を得るとは」
「はっ、そらお互い様や。うちかて、もっと可愛げぇのある子が良かったわ。
…何が悲しゅうて、お前みたいなオッサンを…」
「オッサンとは失礼な。僕はまだ三十代ですよ」
青年が嫌そうな顔をする。はん、と少女は鼻で笑った。
「うちから見れば、充分オッサンや。…大体、何が三十代や。サバ読むんも、大概にしぃ」
「…僕がオッサンなら。貴女は小便くさい小娘、でしょうかね」
冷やかな視線を持って応じれば、じろりと少女が睨む。少々、それに溜飲が下がった。
蒼馬、と少女が呼ぶ。青年――蒼馬は恭しくその足元に跪いた。
「小娘なんは認めたる。…だが、少々従者として分が過ぎるんちゃうか?」
のし、と少女は蒼馬の肩に足を乗せた。僅かにも揺るがない微笑に、舌打ちする。
「これは失礼いたしました。――凪お嬢さん」
「ふん、今更何が『お嬢さん』や。…ま、良い。朝餉にしてや。お腹空いたわ」
くあ、と小さく欠伸をする少女――凪。
はい、と応えて立ち上がる蒼馬を一瞥し、凪は立ちあがった。
†
何か思い立って書いてみた。
こんな感じのお話書きたいなぁと思って。
所詮見切り発車です。多分、続かない(ヲイ)
なので、即興の産物扱いです。
気が向けば、多分、続き書くと…思う(ダメじゃん)
関西弁というか、京都弁と言うか。
何かそんな適当な口調ですが、優しい目で見てやってください。
暗い裏路地だと言うのに、その『顔』ははっきりと見て取れた。
「――アホやねぇ。振り返る間に、一歩でも前に、進みゃ良かろうに」
くつくつと笑う声。
柔らかな少女の声。――けれど冷たくて、心臓まで抉られそうな、声。
「ひ、ひぃいいいいっ!!」
「良ぇ声や。――狩られるもんは、そんくらい、怯えてくれた方が良い」
冷たい声。無邪気な声。少女の声。柔らかい声。――心臓を抉る、声。
男は走る。
鼻緒の切れた下駄が、置いていかないでと叫ぶのを無視して、走る。走る。走る。
「そうや。走りぃ。どこまでもどこまでもどこまでも。……そしてその足が、止まった時。
――うちが、その命、確かに食ろうたる」
ゆらり、と。少女の体が揺れて、足が止まった。
男との距離が開く。少女はその背に向けて、ゆるりと右手を差し出した。
「――さ、出番やで」
少女の口角が、にんまりと上がった。
暗い暗い裏路地。
月の光も届かぬ其処に、緋色の花が咲いた――……
無血開城の維新が終わり、もう十年目。
時代というのはこんなにも早く終わるものかと。何となく感慨深いものを感じながら、
青年は開け放した障子窓から外を見る。
ガラガラと音を立てて過ぎゆくのは、二頭立ての馬車。黒塗りのそれに、ひゅう、と
行儀悪くも口笛を吹いた。
(こんな場末の道を通るとは。なんとも物好きな御貴族様も居たもんだ)
無頼の輩に絡まれねば良いがな、と。人事のように(実際人事なのだが)内心で零す。
――すたん、と背後で襖の開く音がした。
振り返ると、寝乱れた格好の少女が立っている。寝ぼけ眼で此方を見ていた。
「…これは珍しい。今日は随分と早起きですね」
「…あの『ベッド』とか言う奴…。あれ、あかん。ギシギシ煩ぅて、うちの安眠を邪魔しよる…」
がりがりと行儀悪く頭を掻きながら、少女は室内に踏み込む。
畳の上に敷いた緋絨毯。その上のソファにどかっと座り、足を組む。
「困った人だ。貴女が欲しいと駄々を捏ねるから、わざわざ取り寄せたと言うのに」
「人の所為にせんといて。大体、うちが駄々捏ねたくらいで簡単に買うたお前も悪いわ。
真の従者なら、主の我儘くらい体張って止めぇ」
「…どういう理屈ですか。…全く、僕もツイてない。貴女の様な主を得るとは」
「はっ、そらお互い様や。うちかて、もっと可愛げぇのある子が良かったわ。
…何が悲しゅうて、お前みたいなオッサンを…」
「オッサンとは失礼な。僕はまだ三十代ですよ」
青年が嫌そうな顔をする。はん、と少女は鼻で笑った。
「うちから見れば、充分オッサンや。…大体、何が三十代や。サバ読むんも、大概にしぃ」
「…僕がオッサンなら。貴女は小便くさい小娘、でしょうかね」
冷やかな視線を持って応じれば、じろりと少女が睨む。少々、それに溜飲が下がった。
蒼馬、と少女が呼ぶ。青年――蒼馬は恭しくその足元に跪いた。
「小娘なんは認めたる。…だが、少々従者として分が過ぎるんちゃうか?」
のし、と少女は蒼馬の肩に足を乗せた。僅かにも揺るがない微笑に、舌打ちする。
「これは失礼いたしました。――凪お嬢さん」
「ふん、今更何が『お嬢さん』や。…ま、良い。朝餉にしてや。お腹空いたわ」
くあ、と小さく欠伸をする少女――凪。
はい、と応えて立ち上がる蒼馬を一瞥し、凪は立ちあがった。
†
何か思い立って書いてみた。
こんな感じのお話書きたいなぁと思って。
所詮見切り発車です。多分、続かない(ヲイ)
なので、即興の産物扱いです。
気が向けば、多分、続き書くと…思う(ダメじゃん)
関西弁というか、京都弁と言うか。
何かそんな適当な口調ですが、優しい目で見てやってください。
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