日常の一コマや感じたこと。
偏見に満ちたオタク発言とか
二次創作発言などが極めて多し。
良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
こちらへどうぞ――と通された部屋。
おそらく客間なのだろうけれど、其処に置かれた調度品は
一流の(と言っても素人判断だけれども)骨董品ばかり。
維新から十年流れたと言っても、庶民がおいそれと手を出せる品物ではない。
(…よほど裕福なのね)
使用人らしき男が置いて行った茶など、恐れ多くて手が出せない。
すっかり温くなったそれにも溜息をついて、所在なく視線を襖へと移した。
(…せめて須藤様だけでも戻ってきてくだされば…)
父が昵懇にしている、榎並大佐。その紹介で彼女は須藤中尉――寂に出会った。
軍人と言えば強面で屈強な印象しかもっていなかった彼女にとって、
美形とは言わずともそれなりに柔和な顔――どちらかと言うと幼さが残って
屈託のない寂は、ホッとする青年将校であった。
『凪…姫ならば、必ずや御父上と貴女の憂いを晴らしてくださるでしょう』
にこ、と笑う顔の朗らかさにつられるように、彼女も笑った――。
「――失礼します」
「!――っは、はいっ!!」
襖の外から、柔らかい――そして凛と可憐な少女の声が聞こえてきた。
彼女は居住まいを正して、そちらを見る。――す、と襖が開いた。
入ってきたのは、一人の少女のようだ。年の頃は十五、六だろうか。
(…でも後は、よく、見えないな…)
最近、何故か物が見づらい。
医者にかかっても特に異常は無いと言う。視力も落ちていない。
原因不明の病だと医者もさじを投げ、父も母も。そして彼女自身も
どうしていいのか分からず途方に暮れていた。
ごしごしと目を擦る彼女。
そんな彼女の方を向いた少女が、ふ、と僅かに微笑った。

「――ああ。お嬢さん『見づらい』やろ?」
「!!」
彼女は弾かれたように少女の方を見た。ぼやける視界の向こうから、
緋色の何かがやってくる。
「ちぃと待ってな。すぐ見えるようになるさかい」
ひた、と何かが――少女の掌が、彼女の目に当てられた。
吃驚して閉じた瞼の向こう。くす、と少女が笑うのが分かる。
「安心しぃ。何も目ん玉抉ろうっちゅう訳やないから。
――この人は、アンタらの『体』と違う。とっととおうちに、帰りぃ」
――パキン…ッ!
乾いた枝――もしくは薄いガラスが二つに割れるような音がした。
「お嬢さん、もう良ぇで。目、開けてみ?」
コロコロと少女の笑う声が聞こえた。
恐る恐る目を開けて、彼女は目を見張る。
――驚くほど美しい。可憐な少女が彼女を見ていた。
紺の髪を背に垂らし、白い着物を着ている。緋色の袴がひざ丈なのを除けば、
一見すると巫女のよう。銀灰色の瞳が、彼女を見て、ふ、と僅かに微笑う。
「『視鬼』や。何てことない雑魚やけど、一度憑くと、そん人の目ぇを奪う。
どこで貰ぅて来たんかは知らんけど、今日から暫くは家に入る前に
清水で目ぇ洗ぅことや。一度憑かれると、憑かれ易ぅなるさかい」
「あ、あの…!!?」
「うん?ああ、清水の作り方、後で教えたるよって心配いらんよ?」
くすくすと笑う少女。
白くしなやかな掌を、もう一度彼女に差し出す。
「遅ればせながら。――うちが、此処の主。凪や」
微笑む顔は、歳よりも少し、幼く見えた。
†
…何だかんだ言って、何か書き続けてる(笑)
そのうちブログ小説の方に移行するかもなー。
くどいけど、見切り発車ですので。
イラスト描いちゃってる時点で、色々アウトだけど(爆)
おそらく客間なのだろうけれど、其処に置かれた調度品は
一流の(と言っても素人判断だけれども)骨董品ばかり。
維新から十年流れたと言っても、庶民がおいそれと手を出せる品物ではない。
(…よほど裕福なのね)
使用人らしき男が置いて行った茶など、恐れ多くて手が出せない。
すっかり温くなったそれにも溜息をついて、所在なく視線を襖へと移した。
(…せめて須藤様だけでも戻ってきてくだされば…)
父が昵懇にしている、榎並大佐。その紹介で彼女は須藤中尉――寂に出会った。
軍人と言えば強面で屈強な印象しかもっていなかった彼女にとって、
美形とは言わずともそれなりに柔和な顔――どちらかと言うと幼さが残って
屈託のない寂は、ホッとする青年将校であった。
『凪…姫ならば、必ずや御父上と貴女の憂いを晴らしてくださるでしょう』
にこ、と笑う顔の朗らかさにつられるように、彼女も笑った――。
「――失礼します」
「!――っは、はいっ!!」
襖の外から、柔らかい――そして凛と可憐な少女の声が聞こえてきた。
彼女は居住まいを正して、そちらを見る。――す、と襖が開いた。
入ってきたのは、一人の少女のようだ。年の頃は十五、六だろうか。
(…でも後は、よく、見えないな…)
最近、何故か物が見づらい。
医者にかかっても特に異常は無いと言う。視力も落ちていない。
原因不明の病だと医者もさじを投げ、父も母も。そして彼女自身も
どうしていいのか分からず途方に暮れていた。
ごしごしと目を擦る彼女。
そんな彼女の方を向いた少女が、ふ、と僅かに微笑った。
「――ああ。お嬢さん『見づらい』やろ?」
「!!」
彼女は弾かれたように少女の方を見た。ぼやける視界の向こうから、
緋色の何かがやってくる。
「ちぃと待ってな。すぐ見えるようになるさかい」
ひた、と何かが――少女の掌が、彼女の目に当てられた。
吃驚して閉じた瞼の向こう。くす、と少女が笑うのが分かる。
「安心しぃ。何も目ん玉抉ろうっちゅう訳やないから。
――この人は、アンタらの『体』と違う。とっととおうちに、帰りぃ」
――パキン…ッ!
乾いた枝――もしくは薄いガラスが二つに割れるような音がした。
「お嬢さん、もう良ぇで。目、開けてみ?」
コロコロと少女の笑う声が聞こえた。
恐る恐る目を開けて、彼女は目を見張る。
――驚くほど美しい。可憐な少女が彼女を見ていた。
紺の髪を背に垂らし、白い着物を着ている。緋色の袴がひざ丈なのを除けば、
一見すると巫女のよう。銀灰色の瞳が、彼女を見て、ふ、と僅かに微笑う。
「『視鬼』や。何てことない雑魚やけど、一度憑くと、そん人の目ぇを奪う。
どこで貰ぅて来たんかは知らんけど、今日から暫くは家に入る前に
清水で目ぇ洗ぅことや。一度憑かれると、憑かれ易ぅなるさかい」
「あ、あの…!!?」
「うん?ああ、清水の作り方、後で教えたるよって心配いらんよ?」
くすくすと笑う少女。
白くしなやかな掌を、もう一度彼女に差し出す。
「遅ればせながら。――うちが、此処の主。凪や」
微笑む顔は、歳よりも少し、幼く見えた。
†
…何だかんだ言って、何か書き続けてる(笑)
そのうちブログ小説の方に移行するかもなー。
くどいけど、見切り発車ですので。
イラスト描いちゃってる時点で、色々アウトだけど(爆)
PR
Comment
Trackback
トラックバックURL: