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日常の一コマや感じたこと。 偏見に満ちたオタク発言とか 二次創作発言などが極めて多し。 良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
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「どうかしたのか?」
 
 不意に声を掛けられて、少々吃驚しながら振り返る。
 背後に居た無精ひげ面の大男が、私を見て首を傾げていた。
 どうやら、盛大についた溜息を聞かれたらしい。
 別に、と。
 事もなさげに緩く首を振って、曖昧に笑った。

 ――そう、大したことじゃないのだ。
 少なくとも、私以外の人間にとっては。

 要は自分の気の持ちようで、自分自身で何とかしなければならない。
 他人の慰めも同情も、今は素直に受け取れない。
 何でも穿って見てしまう。
 きっと可愛げのない返答をして、呆れられるか。嫌われるか。
 何にしても良い結果など一つも生むまい。
 だから、言った。

「又兵衛さんが心配するようなことじゃ、ないですよ」

 安心して、と言いたかったわけじゃない。
 ひねくれて尖って、バカなほど複雑にねじれた心。
 それが「放っておいてくれ」という言葉と同義だと。
 自分でそれが分かっていて、酷く自己を嫌悪する。
 ――どうしてこう、可愛げと言うものがないのだろう。
 本当は、慰めて欲しいくせに。
 素直に受け取れないことが分かっていて、それでも。

 それでも言葉が欲しいくせに。
 おざなりでも建前でも社交辞令でも良いから。
 一言、何か欲しいくせに。

 そんな私を、暫し、じっと見つめて。
 彼は、ほんのわずかに目を細めた。
 ――と。
 
 ぽん、と。

 彼の大きな掌が、私の頭の上に乗った。

「な、何??何ですか??」
「…嘘、下手だな。あんた」

 にぃ、と。 
 少々意地の悪い。けれど優しい瞳で彼は笑った。

「言いたくなきゃ、別に無理に訊かんさ。
 だが、目は口ほどに物を言う、と言うだろ?
 ――だから、こうしてやる」

 ぐりぐりと。
 節くれだって、大きくて。
 どうかすると傷跡が見えている大きな掌が。
 私の頭を撫でた。
 
 ――ああ。もう。
 どうしてこう、この人は……。

「…あのなぁ。泣くなら泣くと言えよ。
 ――俺が泣かしたみたいじゃないか……」

 少し困ったような声。
 泣かしたんじゃないですか、と。


 やはり私は、可愛げのないことを言った。


   † † †


 摩利支天の再来――そう、自分を呼ぶ者が居ると言う。

「…何が仏だ」

 無骨で大きな掌を見つめ、ぼそりと又兵衛は呟く。
 泣きそうな顔で溜息をつき、何でもないと
 嘘をついた女の顔を思い出しながら。

「本当に仏なら。きちんと、救ってやれたのにな」

 言葉など必要とせず。
 目を見ただけで、彼女の抱える悩みも苦しみも。
 全て救ってやれただろうに。

「……て。バカか、俺は」

 らしくないことを考える自分が、酷く滑稽に思えて。
 又兵衛は、ガリガリと後頭部を掻いた。







    †

オフで落ち込むことがあったので。
自分を慰めようと又兵衛さんを書く(大丈夫か?
又兵衛さん然り、権現様然り。
大きくてどっしりしてる(体型がじゃなくて、中身がね)人が、
凄く好き。なので彼らの様な人に
「よしよし」って撫でてもらいたい。
何かこう、無条件に受け入れて、
存在を認めてもらいたいというか。
ちょっとそーゆー方向に落ち込んでるので。
少しだけ、何か癒された感じがするような。しないような(苦笑)
余談ながら摩利支天様は、「仏」って括って良いのだろうか…(調べろよ)
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