日常の一コマや感じたこと。
偏見に満ちたオタク発言とか
二次創作発言などが極めて多し。
良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
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「鬼は外っ」
ぼそっと。
聴こえるか否か微妙な声(結果的に聴こえているのだが)がした。
立ち止まると同時に、ぽてっと。
着物に阻まれた背に、何かが当たる音がした。
軽いその音と感触に振り返ると、何かが通路の角に隠れる。
――曲がり角を利用して、なんとまぁ、悪賢い。
底の浅い悪知恵に、呆れとも可笑しさとも取れない笑みを浮かべ、
真田は踵を返して、すたすたと角に近づく。
逃げようと背を向けた珍客――その着物の襟を、がっちりと握る。
首がしまったのか、くえっ、と小さなうめき声がした。
「これはこれは。どこの悪戯小僧かと思えば」
くつり、と笑う。じたじたと暴れるそれを、ぐいっと引っ張った。
「妙齢の女性がすることじゃあありませんよねぇ?
分かっててやったとしたら、貴女はバカか命知らずか。
そのどちらかですよ?」
うん?と顔を覗き込む。――ぷい、と視線をそらされた。
「…鬼のようなる真田さんを、懲らしめに来たんですよ」
口を尖らせて、彼女は言う。おやおや、と真田は目を丸くした。
「そりゃあ私は正直性格も素行も悪い子ですけどね?
それを罰されるほど、貴女に対して礼を失したことはないつもりですが」
実際、彼女に関しては殆ど関わりを持っていない。
側女として置くほど器量の良い女でもなし、腕が立つわけでもない。
何より、彼女は後藤又兵衛が傍に置いて使っている女だ。
他人の妻(と言っては語弊があろうが)にちょっかいを出すほど、
切羽詰まっているわけではない。
目を細めた真田。
きっ!とそれを彼女が睨み上げた。
「又兵衛さんを、困らせてばっかりだからですよ!」
「…はい?」
怒りの焦点が分からず、本気で怪訝な声を出す真田。
そんな彼が気に障ったのか、彼女は更に柳眉を逆立てた。
「そりゃあ私は、戦に関しちゃ門外漢も良いところですけどっ!
それでも日常においては、それなりに常識を持ってるつもりです!
…又兵衛さんを、変な遊びに誘わないでくださいっ!」
「変な遊びって…もしかして、双六のことですか?」
「もしかしなくてもそうですっ!…足袋を残してそれ以外は
全部を巻き上げるとか…!そーゆーことは、しないでくださいっ!」
むきーっ!と暴れながら怒る彼女。
呆然としながら言い分を脳内で整理する真田。
――途端に、至極可笑しくなった。
「そっ、そんなことに腹を立てて?!それで私に豆を投げつけた?!
っはははははは!な、なんてバカ!!」
「バカって言うなーっ!!――とにかくっ!もうそういう変な事は
しないでくださいっ!又兵衛さんだって、忙しいんですからっ!!」
じたじたと暴れて、彼女は真田の拘束から逃げだす。
そのまま振り返りもせずに、とたとたと走って逃げてしまった。
「あっ!コラ待てっ!……は、はははっ、……ほんと、バカだなぁ…!」
くつくつと、口元を手で覆って真田は笑う。
ひとしきり笑って、そうして、にんまりと――猫のように笑った。
「バカだけど、可愛くなくもないですよ」
少しだけ、又兵衛の気持ちが分かるような――でも分かりたくない。
芯からへそ曲がりだなぁ、と己に苦笑して。
床にポツンと落ちた豆を、そっと拾った。
†
節分過ぎたけど(爆)
「鬼は外」→「鬼のようなる真田」ってことで
今回は又兵衛さん出番なし(笑)
元ネタは、本家さんの双六の話。
まぁ実際は、又兵衛さん双六してないんだけど(笑)
真田さん、性格悪いけど嫌いじゃない。
むしろ、結構好き(笑)
それでは、此処まで読んでいただいて
有難うございましたv
ぼそっと。
聴こえるか否か微妙な声(結果的に聴こえているのだが)がした。
立ち止まると同時に、ぽてっと。
着物に阻まれた背に、何かが当たる音がした。
軽いその音と感触に振り返ると、何かが通路の角に隠れる。
――曲がり角を利用して、なんとまぁ、悪賢い。
底の浅い悪知恵に、呆れとも可笑しさとも取れない笑みを浮かべ、
真田は踵を返して、すたすたと角に近づく。
逃げようと背を向けた珍客――その着物の襟を、がっちりと握る。
首がしまったのか、くえっ、と小さなうめき声がした。
「これはこれは。どこの悪戯小僧かと思えば」
くつり、と笑う。じたじたと暴れるそれを、ぐいっと引っ張った。
「妙齢の女性がすることじゃあありませんよねぇ?
分かっててやったとしたら、貴女はバカか命知らずか。
そのどちらかですよ?」
うん?と顔を覗き込む。――ぷい、と視線をそらされた。
「…鬼のようなる真田さんを、懲らしめに来たんですよ」
口を尖らせて、彼女は言う。おやおや、と真田は目を丸くした。
「そりゃあ私は正直性格も素行も悪い子ですけどね?
それを罰されるほど、貴女に対して礼を失したことはないつもりですが」
実際、彼女に関しては殆ど関わりを持っていない。
側女として置くほど器量の良い女でもなし、腕が立つわけでもない。
何より、彼女は後藤又兵衛が傍に置いて使っている女だ。
他人の妻(と言っては語弊があろうが)にちょっかいを出すほど、
切羽詰まっているわけではない。
目を細めた真田。
きっ!とそれを彼女が睨み上げた。
「又兵衛さんを、困らせてばっかりだからですよ!」
「…はい?」
怒りの焦点が分からず、本気で怪訝な声を出す真田。
そんな彼が気に障ったのか、彼女は更に柳眉を逆立てた。
「そりゃあ私は、戦に関しちゃ門外漢も良いところですけどっ!
それでも日常においては、それなりに常識を持ってるつもりです!
…又兵衛さんを、変な遊びに誘わないでくださいっ!」
「変な遊びって…もしかして、双六のことですか?」
「もしかしなくてもそうですっ!…足袋を残してそれ以外は
全部を巻き上げるとか…!そーゆーことは、しないでくださいっ!」
むきーっ!と暴れながら怒る彼女。
呆然としながら言い分を脳内で整理する真田。
――途端に、至極可笑しくなった。
「そっ、そんなことに腹を立てて?!それで私に豆を投げつけた?!
っはははははは!な、なんてバカ!!」
「バカって言うなーっ!!――とにかくっ!もうそういう変な事は
しないでくださいっ!又兵衛さんだって、忙しいんですからっ!!」
じたじたと暴れて、彼女は真田の拘束から逃げだす。
そのまま振り返りもせずに、とたとたと走って逃げてしまった。
「あっ!コラ待てっ!……は、はははっ、……ほんと、バカだなぁ…!」
くつくつと、口元を手で覆って真田は笑う。
ひとしきり笑って、そうして、にんまりと――猫のように笑った。
「バカだけど、可愛くなくもないですよ」
少しだけ、又兵衛の気持ちが分かるような――でも分かりたくない。
芯からへそ曲がりだなぁ、と己に苦笑して。
床にポツンと落ちた豆を、そっと拾った。
†
節分過ぎたけど(爆)
「鬼は外」→「鬼のようなる真田」ってことで
今回は又兵衛さん出番なし(笑)
元ネタは、本家さんの双六の話。
まぁ実際は、又兵衛さん双六してないんだけど(笑)
真田さん、性格悪いけど嫌いじゃない。
むしろ、結構好き(笑)
それでは、此処まで読んでいただいて
有難うございましたv
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