日常の一コマや感じたこと。
偏見に満ちたオタク発言とか
二次創作発言などが極めて多し。
良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
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当たり前が当たり前じゃない世界。
其処に居て、やはり『今日』はやってくる。
故郷に居れば『普通』のことなのに。
材料も手立ても何もない。
――残っているものはこれしかないから。
「好きです」
「……は?」
唐突に。
顔を合わせた瞬間そう言われて、又兵衛は目を丸くする。
言った方は、顔を真っ赤にしていて。
それがこの状態の異様さに拍車をかけていた。
「…一体何の話だ?」
「……今日は、そういう日ですから」
「……。いや、だから。意味が分からん」
ちゃんと説明しろ、と目を眇めると、彼女は一層赤くなった。
「だって今日は、バレンタインなんですもの」
「……俺は、説明してくれ、と言ってるんだが」
南蛮語で言われても、何のことか解からない。
怪訝な顔で詰め寄ると、うぅ、と僅かに彼女がうめいた。
「未来では、今日はバレンタインって言って。
好きな人にチョコってお菓子をあげて愛を告白する日なんです」
でも此処にはチョコがないから。
だから言葉で告げるのだ、と。
羞恥で要領を得ない彼女の言葉から、やっと事の次第を呑みこんだ。
又兵衛は、盛大な溜息をつく。
「事情は分かった。そのうえで言うぞ。――アンタは、バカか?」
「!?っそ、そんな酷いこと言わなくても良いじゃないですか…っ!!」
じわ、と彼女の目に涙が浮かぶ。
「又兵衛さんが私をどう思っているかは分かりませんけど…!
それでも、私は私なりに、勇気を振り絞って――」
「だから、バカだって言うんだ」
呆れたような声で言って、又兵衛は彼女に手を伸ばす。
一瞬竦んだ彼女――その頭に、ぽん、と掌を置いた。
「一々口にして言わなくたって、アンタの気持ちは分かってるよ。
だが――応えられるはずが、ないだろう?」
彼女は又兵衛とは違う。
何かの因果で『偶々』此処に来て。『偶々』又兵衛に出会った。
いつか彼女は生まれ育った世界――未来に帰る。
そして自分は、多分、此処で――戦場で、死ぬ。
そんな男が、応えてやれるはずがない。
応えて良い、はずがない。
「俺の様な甲斐性なしの碌でなしに、心を捧げるな。
アンタは、もっと良い男を捕まえて幸せになれ。
…アンタが幸せになってくれれば、俺も救われる」
嘘をつくことでしか、彼女を守ってやれない。
本当は、誰にも渡したくなどないのに。
「私が、救われません」
ぽつり、と彼女が言う。
涙のたまった瞳で、又兵衛を見上げた。
「私は又兵衛さんが好きです。又兵衛さんじゃないと嫌です。
又兵衛さんが私を選んでくれないのなら、私は幸せになど
永遠になれません」
「…人の所為にしてくれるなよ」
「先に人の所為にしたのは、又兵衛さんですよ」
ああいえば、こういう。
何があっても、望む答えは一つなのだと。
「…愛の告白、など。綺麗な言葉の割に中身は脅迫だな」
「脅迫だと思うのは、後ろめたいからでしょう?」
だから、と彼女は又兵衛の手を取った。
傷跡を包み込むように握る。――祈りを捧げるように。
「お願いです。貴方の本当の気持ちをください。
それが間違っていても。私はどこまでも一緒に行きますから」
貴方の傍から、居なくなったりしないから。
切実な祈りを込めた声。
それに暫し逡巡し、ああもう、とヤケのように吐き出した。
「負けたよ。俺の負けだ。――アンタが好きだよ。
心底、惚れてる」
僅かに耳を赤くして。
稀代の軍師はそっぽを向いた。
†
バレンタインと言うことで。
即興で又兵衛さん話。
むー…もうちょっと甘くしたかったが。
まぁ、即興だしブログだからね。この程度が限界。
此処まで読んでいただいて、多謝です!
其処に居て、やはり『今日』はやってくる。
故郷に居れば『普通』のことなのに。
材料も手立ても何もない。
――残っているものはこれしかないから。
「好きです」
「……は?」
唐突に。
顔を合わせた瞬間そう言われて、又兵衛は目を丸くする。
言った方は、顔を真っ赤にしていて。
それがこの状態の異様さに拍車をかけていた。
「…一体何の話だ?」
「……今日は、そういう日ですから」
「……。いや、だから。意味が分からん」
ちゃんと説明しろ、と目を眇めると、彼女は一層赤くなった。
「だって今日は、バレンタインなんですもの」
「……俺は、説明してくれ、と言ってるんだが」
南蛮語で言われても、何のことか解からない。
怪訝な顔で詰め寄ると、うぅ、と僅かに彼女がうめいた。
「未来では、今日はバレンタインって言って。
好きな人にチョコってお菓子をあげて愛を告白する日なんです」
でも此処にはチョコがないから。
だから言葉で告げるのだ、と。
羞恥で要領を得ない彼女の言葉から、やっと事の次第を呑みこんだ。
又兵衛は、盛大な溜息をつく。
「事情は分かった。そのうえで言うぞ。――アンタは、バカか?」
「!?っそ、そんな酷いこと言わなくても良いじゃないですか…っ!!」
じわ、と彼女の目に涙が浮かぶ。
「又兵衛さんが私をどう思っているかは分かりませんけど…!
それでも、私は私なりに、勇気を振り絞って――」
「だから、バカだって言うんだ」
呆れたような声で言って、又兵衛は彼女に手を伸ばす。
一瞬竦んだ彼女――その頭に、ぽん、と掌を置いた。
「一々口にして言わなくたって、アンタの気持ちは分かってるよ。
だが――応えられるはずが、ないだろう?」
彼女は又兵衛とは違う。
何かの因果で『偶々』此処に来て。『偶々』又兵衛に出会った。
いつか彼女は生まれ育った世界――未来に帰る。
そして自分は、多分、此処で――戦場で、死ぬ。
そんな男が、応えてやれるはずがない。
応えて良い、はずがない。
「俺の様な甲斐性なしの碌でなしに、心を捧げるな。
アンタは、もっと良い男を捕まえて幸せになれ。
…アンタが幸せになってくれれば、俺も救われる」
嘘をつくことでしか、彼女を守ってやれない。
本当は、誰にも渡したくなどないのに。
「私が、救われません」
ぽつり、と彼女が言う。
涙のたまった瞳で、又兵衛を見上げた。
「私は又兵衛さんが好きです。又兵衛さんじゃないと嫌です。
又兵衛さんが私を選んでくれないのなら、私は幸せになど
永遠になれません」
「…人の所為にしてくれるなよ」
「先に人の所為にしたのは、又兵衛さんですよ」
ああいえば、こういう。
何があっても、望む答えは一つなのだと。
「…愛の告白、など。綺麗な言葉の割に中身は脅迫だな」
「脅迫だと思うのは、後ろめたいからでしょう?」
だから、と彼女は又兵衛の手を取った。
傷跡を包み込むように握る。――祈りを捧げるように。
「お願いです。貴方の本当の気持ちをください。
それが間違っていても。私はどこまでも一緒に行きますから」
貴方の傍から、居なくなったりしないから。
切実な祈りを込めた声。
それに暫し逡巡し、ああもう、とヤケのように吐き出した。
「負けたよ。俺の負けだ。――アンタが好きだよ。
心底、惚れてる」
僅かに耳を赤くして。
稀代の軍師はそっぽを向いた。
†
バレンタインと言うことで。
即興で又兵衛さん話。
むー…もうちょっと甘くしたかったが。
まぁ、即興だしブログだからね。この程度が限界。
此処まで読んでいただいて、多謝です!
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