日常の一コマや感じたこと。
偏見に満ちたオタク発言とか
二次創作発言などが極めて多し。
良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
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――逃げても良いよ。
突然現れた彼は、そう言って微笑った。
何のことか分からなくて、私は、え?と呟く。
我ながら間の抜けた返事だと思ったが、彼は微笑みを崩さない。
「…ねぇ。逃げても、良いんだよ?」
「…あの…質問の意味を、理解しかねますが…?」
何のことか分からなくて。私は素直にそう問い返した。
鈍いね、と微笑う彼。
男にしておくには勿体ない、整った美貌が婉然と微笑う。
「鈍い、と言われましても…。本当に意味が分からないんです。
一体何から逃げろ、とおっしゃるんですか?」
「逃げろ、とは言ってないよ。『逃げても良い』って言ってる」
「…同じ意味に聞こえますけど?」
怪訝に問う私に、全然違うよ、と彼は目を細める。
「逃げろ、は命令でしょ?それは僕が君に命令することになる。
そうじゃなくて、逃げても良い、というのは選択。
君に選択肢を与えてあげているんだよ」
優しいでしょ?と。くつくつと笑う彼に、私は溜息を返した。
同じことを三度も訊くのも、何だかバカバカしい。
けれども一体私に何の『選択肢』を与えられているのか。
肝心のそれが分からない。
私がよほど怪訝な顔をしていたのだろう。仕方ないな、と
笑い含みに呟いて、彼は一歩私に近づく。
「…僕はね、そんなに短気じゃないけど、気が長い方でもないんだ。
そのうえ、人より頭三つも四つも飛びぬけて独占欲が強い。
――欲しいと思ったものはね、どんな手段を使っても手に入れたい」
静かな。それでいて艶を含んだ甘い声で囁いて。彼は私の
頤をつかんだ。強制的に上向かされて、私の瞳に彼の美麗な貌が映る。
「僕が何を――誰を欲しがっているのか。今更知らないとは言わせないよ?
…でも、僕ばかりが欲しがっていては不公平だし、何より君の『人権』と
やらを尊重しなくちゃ、人としての道理が立たないでしょう?
――だから、訊いてるんだ。……逃げても良いよ、と」
琥珀色の美しい瞳が、闇をはらんだ危うい色を浮かべる。
華奢でしなやかな――そのくせ武術をたしなむ武人の指が、私の
頤、頬――そして、首筋を撫でていく。
――ずるい人だ、と思う。
選択肢を「与えてあげる」と言いながら、結果が変わらないのでは意味がない。
「…それ、意味がありませんよ」
――だって貴方は、どんな手段を使ってでも、手に入れるのでしょう?
「あれ?そこは鋭いね」
笑う男――その瞳の奥に隠されたのは、仔羊を狩る死神の鎌。
「だって、私がマクドールさんの傍を離れるわけがないじゃないですか」
紛うことなき本音。――私の魂は、既にこの美麗なる死神に奪われている。
そう?と彼は嬉しそうに――本当に嬉しそうに笑った。闇色の微笑で。
「じゃあ、その気持ちに全身全霊もって応えてあげるよ。――おいで」
死神の腕が広がる。其処に飛び込めば、きっともう帰ってこれない。
――それでも。
捕まえた仔羊を愛おしげに抱きしめて。良い子だね、と死神は微笑った。
「でも覚えておいてね?

選んだのは、君自身……だよ?」
†
――こんな坊が好きなんです(笑)
こんな闇で黒な坊はダメですか?( ̄▽ ̄)
突然現れた彼は、そう言って微笑った。
何のことか分からなくて、私は、え?と呟く。
我ながら間の抜けた返事だと思ったが、彼は微笑みを崩さない。
「…ねぇ。逃げても、良いんだよ?」
「…あの…質問の意味を、理解しかねますが…?」
何のことか分からなくて。私は素直にそう問い返した。
鈍いね、と微笑う彼。
男にしておくには勿体ない、整った美貌が婉然と微笑う。
「鈍い、と言われましても…。本当に意味が分からないんです。
一体何から逃げろ、とおっしゃるんですか?」
「逃げろ、とは言ってないよ。『逃げても良い』って言ってる」
「…同じ意味に聞こえますけど?」
怪訝に問う私に、全然違うよ、と彼は目を細める。
「逃げろ、は命令でしょ?それは僕が君に命令することになる。
そうじゃなくて、逃げても良い、というのは選択。
君に選択肢を与えてあげているんだよ」
優しいでしょ?と。くつくつと笑う彼に、私は溜息を返した。
同じことを三度も訊くのも、何だかバカバカしい。
けれども一体私に何の『選択肢』を与えられているのか。
肝心のそれが分からない。
私がよほど怪訝な顔をしていたのだろう。仕方ないな、と
笑い含みに呟いて、彼は一歩私に近づく。
「…僕はね、そんなに短気じゃないけど、気が長い方でもないんだ。
そのうえ、人より頭三つも四つも飛びぬけて独占欲が強い。
――欲しいと思ったものはね、どんな手段を使っても手に入れたい」
静かな。それでいて艶を含んだ甘い声で囁いて。彼は私の
頤をつかんだ。強制的に上向かされて、私の瞳に彼の美麗な貌が映る。
「僕が何を――誰を欲しがっているのか。今更知らないとは言わせないよ?
…でも、僕ばかりが欲しがっていては不公平だし、何より君の『人権』と
やらを尊重しなくちゃ、人としての道理が立たないでしょう?
――だから、訊いてるんだ。……逃げても良いよ、と」
琥珀色の美しい瞳が、闇をはらんだ危うい色を浮かべる。
華奢でしなやかな――そのくせ武術をたしなむ武人の指が、私の
頤、頬――そして、首筋を撫でていく。
――ずるい人だ、と思う。
選択肢を「与えてあげる」と言いながら、結果が変わらないのでは意味がない。
「…それ、意味がありませんよ」
――だって貴方は、どんな手段を使ってでも、手に入れるのでしょう?
「あれ?そこは鋭いね」
笑う男――その瞳の奥に隠されたのは、仔羊を狩る死神の鎌。
「だって、私がマクドールさんの傍を離れるわけがないじゃないですか」
紛うことなき本音。――私の魂は、既にこの美麗なる死神に奪われている。
そう?と彼は嬉しそうに――本当に嬉しそうに笑った。闇色の微笑で。
「じゃあ、その気持ちに全身全霊もって応えてあげるよ。――おいで」
死神の腕が広がる。其処に飛び込めば、きっともう帰ってこれない。
――それでも。
捕まえた仔羊を愛おしげに抱きしめて。良い子だね、と死神は微笑った。
「でも覚えておいてね?
選んだのは、君自身……だよ?」
†
――こんな坊が好きなんです(笑)
こんな闇で黒な坊はダメですか?( ̄▽ ̄)
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