日常の一コマや感じたこと。
偏見に満ちたオタク発言とか
二次創作発言などが極めて多し。
良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
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※いわゆる「死にネタ」なので、
苦手な人は回避の方向でお願いします。
空を大河と例えれば。
其処を泳ぐ鯉のぼりは、確かに龍へと変じよう。
葉を剣と例えれば。
咲き誇る菖蒲は、守られし君なのだろう。
だから、私は。
その菖蒲を思い切り引き抜いた。
「守られてばっかりで。――返してよ」
花に罪は無いのに。
『守られている』その様が、酷く癇に障った。
「返してよ。――貴方の所為で、あの人は……」
達者でな、と笑っていた。
帰ってくる、とは言わなかった。
戻ってくる、とは言わなかった。
待ってろ、とも言わなかった。
別れの言葉を一つだけ残して、夜霧の中に消えて行った。
「あんなに、好きだって。ずっと傍にいるって言ったのに」
言葉が届いていなかったんじゃない。
言葉を。想いを受け止めて。
それでも最期は無言の笑みで背を向けた。
――その優しさが、私を傷つけると知りながら。
「バカだよ。こんなに、良い女を捨てて」
数百年の時を経て、まだ、こんなに貴方を想っているのに。
「バカだよ。あんな甲斐性なしに、こんなに惚れて」
数百年の時を経て、まだ、貴方を忘れられない。
忘れたくない。
「……見てなさいよ」
涙で滲んだ視界を、蒼穹へと向けた。
気の所為か、鯉が龍の姿に見えた。
「二度と会わないで済むとか。地獄でせいせいしてるんでしょうけどね。
私は、どこまでだって追いかけてやるんだから」
極楽行きのチケットなんて破り捨てて、閻魔に喧嘩を売ってでも。
「今度こそ絶対逃がしてやらないんだから。
――覚悟してなさいよ。……後藤又兵衛っ!」
晴れ渡る五月の空。
引き抜いた菖蒲――剣を握りしめて。
私は、涙をぬぐった。
†
鬱ブログ(苦笑)がいつまでもトップじゃアレなので。
久しぶりに又兵衛話を書いてみる。――が、内容死にネタ(爆)
もっと甘いの書けよ>自分
又兵衛さんが討ち死したのが、子供の日の翌日と言う話を
小耳にはさんだので。…もう遅いけどね。過ぎたけどね!(泣笑)
現代に戻った彼女って設定です(今更)
苦手な人は回避の方向でお願いします。
空を大河と例えれば。
其処を泳ぐ鯉のぼりは、確かに龍へと変じよう。
葉を剣と例えれば。
咲き誇る菖蒲は、守られし君なのだろう。
だから、私は。
その菖蒲を思い切り引き抜いた。
「守られてばっかりで。――返してよ」
花に罪は無いのに。
『守られている』その様が、酷く癇に障った。
「返してよ。――貴方の所為で、あの人は……」
達者でな、と笑っていた。
帰ってくる、とは言わなかった。
戻ってくる、とは言わなかった。
待ってろ、とも言わなかった。
別れの言葉を一つだけ残して、夜霧の中に消えて行った。
「あんなに、好きだって。ずっと傍にいるって言ったのに」
言葉が届いていなかったんじゃない。
言葉を。想いを受け止めて。
それでも最期は無言の笑みで背を向けた。
――その優しさが、私を傷つけると知りながら。
「バカだよ。こんなに、良い女を捨てて」
数百年の時を経て、まだ、こんなに貴方を想っているのに。
「バカだよ。あんな甲斐性なしに、こんなに惚れて」
数百年の時を経て、まだ、貴方を忘れられない。
忘れたくない。
「……見てなさいよ」
涙で滲んだ視界を、蒼穹へと向けた。
気の所為か、鯉が龍の姿に見えた。
「二度と会わないで済むとか。地獄でせいせいしてるんでしょうけどね。
私は、どこまでだって追いかけてやるんだから」
極楽行きのチケットなんて破り捨てて、閻魔に喧嘩を売ってでも。
「今度こそ絶対逃がしてやらないんだから。
――覚悟してなさいよ。……後藤又兵衛っ!」
晴れ渡る五月の空。
引き抜いた菖蒲――剣を握りしめて。
私は、涙をぬぐった。
†
鬱ブログ(苦笑)がいつまでもトップじゃアレなので。
久しぶりに又兵衛話を書いてみる。――が、内容死にネタ(爆)
もっと甘いの書けよ>自分
又兵衛さんが討ち死したのが、子供の日の翌日と言う話を
小耳にはさんだので。…もう遅いけどね。過ぎたけどね!(泣笑)
現代に戻った彼女って設定です(今更)
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当たり前が当たり前じゃない世界。
其処に居て、やはり『今日』はやってくる。
故郷に居れば『普通』のことなのに。
材料も手立ても何もない。
――残っているものはこれしかないから。
「好きです」
「……は?」
唐突に。
顔を合わせた瞬間そう言われて、又兵衛は目を丸くする。
言った方は、顔を真っ赤にしていて。
それがこの状態の異様さに拍車をかけていた。
「…一体何の話だ?」
「……今日は、そういう日ですから」
「……。いや、だから。意味が分からん」
ちゃんと説明しろ、と目を眇めると、彼女は一層赤くなった。
「だって今日は、バレンタインなんですもの」
「……俺は、説明してくれ、と言ってるんだが」
南蛮語で言われても、何のことか解からない。
怪訝な顔で詰め寄ると、うぅ、と僅かに彼女がうめいた。
「未来では、今日はバレンタインって言って。
好きな人にチョコってお菓子をあげて愛を告白する日なんです」
でも此処にはチョコがないから。
だから言葉で告げるのだ、と。
羞恥で要領を得ない彼女の言葉から、やっと事の次第を呑みこんだ。
又兵衛は、盛大な溜息をつく。
「事情は分かった。そのうえで言うぞ。――アンタは、バカか?」
「!?っそ、そんな酷いこと言わなくても良いじゃないですか…っ!!」
じわ、と彼女の目に涙が浮かぶ。
「又兵衛さんが私をどう思っているかは分かりませんけど…!
それでも、私は私なりに、勇気を振り絞って――」
「だから、バカだって言うんだ」
呆れたような声で言って、又兵衛は彼女に手を伸ばす。
一瞬竦んだ彼女――その頭に、ぽん、と掌を置いた。
「一々口にして言わなくたって、アンタの気持ちは分かってるよ。
だが――応えられるはずが、ないだろう?」
彼女は又兵衛とは違う。
何かの因果で『偶々』此処に来て。『偶々』又兵衛に出会った。
いつか彼女は生まれ育った世界――未来に帰る。
そして自分は、多分、此処で――戦場で、死ぬ。
そんな男が、応えてやれるはずがない。
応えて良い、はずがない。
「俺の様な甲斐性なしの碌でなしに、心を捧げるな。
アンタは、もっと良い男を捕まえて幸せになれ。
…アンタが幸せになってくれれば、俺も救われる」
嘘をつくことでしか、彼女を守ってやれない。
本当は、誰にも渡したくなどないのに。
「私が、救われません」
ぽつり、と彼女が言う。
涙のたまった瞳で、又兵衛を見上げた。
「私は又兵衛さんが好きです。又兵衛さんじゃないと嫌です。
又兵衛さんが私を選んでくれないのなら、私は幸せになど
永遠になれません」
「…人の所為にしてくれるなよ」
「先に人の所為にしたのは、又兵衛さんですよ」
ああいえば、こういう。
何があっても、望む答えは一つなのだと。
「…愛の告白、など。綺麗な言葉の割に中身は脅迫だな」
「脅迫だと思うのは、後ろめたいからでしょう?」
だから、と彼女は又兵衛の手を取った。
傷跡を包み込むように握る。――祈りを捧げるように。
「お願いです。貴方の本当の気持ちをください。
それが間違っていても。私はどこまでも一緒に行きますから」
貴方の傍から、居なくなったりしないから。
切実な祈りを込めた声。
それに暫し逡巡し、ああもう、とヤケのように吐き出した。
「負けたよ。俺の負けだ。――アンタが好きだよ。
心底、惚れてる」
僅かに耳を赤くして。
稀代の軍師はそっぽを向いた。
†
バレンタインと言うことで。
即興で又兵衛さん話。
むー…もうちょっと甘くしたかったが。
まぁ、即興だしブログだからね。この程度が限界。
此処まで読んでいただいて、多謝です!
其処に居て、やはり『今日』はやってくる。
故郷に居れば『普通』のことなのに。
材料も手立ても何もない。
――残っているものはこれしかないから。
「好きです」
「……は?」
唐突に。
顔を合わせた瞬間そう言われて、又兵衛は目を丸くする。
言った方は、顔を真っ赤にしていて。
それがこの状態の異様さに拍車をかけていた。
「…一体何の話だ?」
「……今日は、そういう日ですから」
「……。いや、だから。意味が分からん」
ちゃんと説明しろ、と目を眇めると、彼女は一層赤くなった。
「だって今日は、バレンタインなんですもの」
「……俺は、説明してくれ、と言ってるんだが」
南蛮語で言われても、何のことか解からない。
怪訝な顔で詰め寄ると、うぅ、と僅かに彼女がうめいた。
「未来では、今日はバレンタインって言って。
好きな人にチョコってお菓子をあげて愛を告白する日なんです」
でも此処にはチョコがないから。
だから言葉で告げるのだ、と。
羞恥で要領を得ない彼女の言葉から、やっと事の次第を呑みこんだ。
又兵衛は、盛大な溜息をつく。
「事情は分かった。そのうえで言うぞ。――アンタは、バカか?」
「!?っそ、そんな酷いこと言わなくても良いじゃないですか…っ!!」
じわ、と彼女の目に涙が浮かぶ。
「又兵衛さんが私をどう思っているかは分かりませんけど…!
それでも、私は私なりに、勇気を振り絞って――」
「だから、バカだって言うんだ」
呆れたような声で言って、又兵衛は彼女に手を伸ばす。
一瞬竦んだ彼女――その頭に、ぽん、と掌を置いた。
「一々口にして言わなくたって、アンタの気持ちは分かってるよ。
だが――応えられるはずが、ないだろう?」
彼女は又兵衛とは違う。
何かの因果で『偶々』此処に来て。『偶々』又兵衛に出会った。
いつか彼女は生まれ育った世界――未来に帰る。
そして自分は、多分、此処で――戦場で、死ぬ。
そんな男が、応えてやれるはずがない。
応えて良い、はずがない。
「俺の様な甲斐性なしの碌でなしに、心を捧げるな。
アンタは、もっと良い男を捕まえて幸せになれ。
…アンタが幸せになってくれれば、俺も救われる」
嘘をつくことでしか、彼女を守ってやれない。
本当は、誰にも渡したくなどないのに。
「私が、救われません」
ぽつり、と彼女が言う。
涙のたまった瞳で、又兵衛を見上げた。
「私は又兵衛さんが好きです。又兵衛さんじゃないと嫌です。
又兵衛さんが私を選んでくれないのなら、私は幸せになど
永遠になれません」
「…人の所為にしてくれるなよ」
「先に人の所為にしたのは、又兵衛さんですよ」
ああいえば、こういう。
何があっても、望む答えは一つなのだと。
「…愛の告白、など。綺麗な言葉の割に中身は脅迫だな」
「脅迫だと思うのは、後ろめたいからでしょう?」
だから、と彼女は又兵衛の手を取った。
傷跡を包み込むように握る。――祈りを捧げるように。
「お願いです。貴方の本当の気持ちをください。
それが間違っていても。私はどこまでも一緒に行きますから」
貴方の傍から、居なくなったりしないから。
切実な祈りを込めた声。
それに暫し逡巡し、ああもう、とヤケのように吐き出した。
「負けたよ。俺の負けだ。――アンタが好きだよ。
心底、惚れてる」
僅かに耳を赤くして。
稀代の軍師はそっぽを向いた。
†
バレンタインと言うことで。
即興で又兵衛さん話。
むー…もうちょっと甘くしたかったが。
まぁ、即興だしブログだからね。この程度が限界。
此処まで読んでいただいて、多謝です!
「鬼は外っ」
ぼそっと。
聴こえるか否か微妙な声(結果的に聴こえているのだが)がした。
立ち止まると同時に、ぽてっと。
着物に阻まれた背に、何かが当たる音がした。
軽いその音と感触に振り返ると、何かが通路の角に隠れる。
――曲がり角を利用して、なんとまぁ、悪賢い。
底の浅い悪知恵に、呆れとも可笑しさとも取れない笑みを浮かべ、
真田は踵を返して、すたすたと角に近づく。
逃げようと背を向けた珍客――その着物の襟を、がっちりと握る。
首がしまったのか、くえっ、と小さなうめき声がした。
「これはこれは。どこの悪戯小僧かと思えば」
くつり、と笑う。じたじたと暴れるそれを、ぐいっと引っ張った。
「妙齢の女性がすることじゃあありませんよねぇ?
分かっててやったとしたら、貴女はバカか命知らずか。
そのどちらかですよ?」
うん?と顔を覗き込む。――ぷい、と視線をそらされた。
「…鬼のようなる真田さんを、懲らしめに来たんですよ」
口を尖らせて、彼女は言う。おやおや、と真田は目を丸くした。
「そりゃあ私は正直性格も素行も悪い子ですけどね?
それを罰されるほど、貴女に対して礼を失したことはないつもりですが」
実際、彼女に関しては殆ど関わりを持っていない。
側女として置くほど器量の良い女でもなし、腕が立つわけでもない。
何より、彼女は後藤又兵衛が傍に置いて使っている女だ。
他人の妻(と言っては語弊があろうが)にちょっかいを出すほど、
切羽詰まっているわけではない。
目を細めた真田。
きっ!とそれを彼女が睨み上げた。
「又兵衛さんを、困らせてばっかりだからですよ!」
「…はい?」
怒りの焦点が分からず、本気で怪訝な声を出す真田。
そんな彼が気に障ったのか、彼女は更に柳眉を逆立てた。
「そりゃあ私は、戦に関しちゃ門外漢も良いところですけどっ!
それでも日常においては、それなりに常識を持ってるつもりです!
…又兵衛さんを、変な遊びに誘わないでくださいっ!」
「変な遊びって…もしかして、双六のことですか?」
「もしかしなくてもそうですっ!…足袋を残してそれ以外は
全部を巻き上げるとか…!そーゆーことは、しないでくださいっ!」
むきーっ!と暴れながら怒る彼女。
呆然としながら言い分を脳内で整理する真田。
――途端に、至極可笑しくなった。
「そっ、そんなことに腹を立てて?!それで私に豆を投げつけた?!
っはははははは!な、なんてバカ!!」
「バカって言うなーっ!!――とにかくっ!もうそういう変な事は
しないでくださいっ!又兵衛さんだって、忙しいんですからっ!!」
じたじたと暴れて、彼女は真田の拘束から逃げだす。
そのまま振り返りもせずに、とたとたと走って逃げてしまった。
「あっ!コラ待てっ!……は、はははっ、……ほんと、バカだなぁ…!」
くつくつと、口元を手で覆って真田は笑う。
ひとしきり笑って、そうして、にんまりと――猫のように笑った。
「バカだけど、可愛くなくもないですよ」
少しだけ、又兵衛の気持ちが分かるような――でも分かりたくない。
芯からへそ曲がりだなぁ、と己に苦笑して。
床にポツンと落ちた豆を、そっと拾った。
†
節分過ぎたけど(爆)
「鬼は外」→「鬼のようなる真田」ってことで
今回は又兵衛さん出番なし(笑)
元ネタは、本家さんの双六の話。
まぁ実際は、又兵衛さん双六してないんだけど(笑)
真田さん、性格悪いけど嫌いじゃない。
むしろ、結構好き(笑)
それでは、此処まで読んでいただいて
有難うございましたv
ぼそっと。
聴こえるか否か微妙な声(結果的に聴こえているのだが)がした。
立ち止まると同時に、ぽてっと。
着物に阻まれた背に、何かが当たる音がした。
軽いその音と感触に振り返ると、何かが通路の角に隠れる。
――曲がり角を利用して、なんとまぁ、悪賢い。
底の浅い悪知恵に、呆れとも可笑しさとも取れない笑みを浮かべ、
真田は踵を返して、すたすたと角に近づく。
逃げようと背を向けた珍客――その着物の襟を、がっちりと握る。
首がしまったのか、くえっ、と小さなうめき声がした。
「これはこれは。どこの悪戯小僧かと思えば」
くつり、と笑う。じたじたと暴れるそれを、ぐいっと引っ張った。
「妙齢の女性がすることじゃあありませんよねぇ?
分かっててやったとしたら、貴女はバカか命知らずか。
そのどちらかですよ?」
うん?と顔を覗き込む。――ぷい、と視線をそらされた。
「…鬼のようなる真田さんを、懲らしめに来たんですよ」
口を尖らせて、彼女は言う。おやおや、と真田は目を丸くした。
「そりゃあ私は正直性格も素行も悪い子ですけどね?
それを罰されるほど、貴女に対して礼を失したことはないつもりですが」
実際、彼女に関しては殆ど関わりを持っていない。
側女として置くほど器量の良い女でもなし、腕が立つわけでもない。
何より、彼女は後藤又兵衛が傍に置いて使っている女だ。
他人の妻(と言っては語弊があろうが)にちょっかいを出すほど、
切羽詰まっているわけではない。
目を細めた真田。
きっ!とそれを彼女が睨み上げた。
「又兵衛さんを、困らせてばっかりだからですよ!」
「…はい?」
怒りの焦点が分からず、本気で怪訝な声を出す真田。
そんな彼が気に障ったのか、彼女は更に柳眉を逆立てた。
「そりゃあ私は、戦に関しちゃ門外漢も良いところですけどっ!
それでも日常においては、それなりに常識を持ってるつもりです!
…又兵衛さんを、変な遊びに誘わないでくださいっ!」
「変な遊びって…もしかして、双六のことですか?」
「もしかしなくてもそうですっ!…足袋を残してそれ以外は
全部を巻き上げるとか…!そーゆーことは、しないでくださいっ!」
むきーっ!と暴れながら怒る彼女。
呆然としながら言い分を脳内で整理する真田。
――途端に、至極可笑しくなった。
「そっ、そんなことに腹を立てて?!それで私に豆を投げつけた?!
っはははははは!な、なんてバカ!!」
「バカって言うなーっ!!――とにかくっ!もうそういう変な事は
しないでくださいっ!又兵衛さんだって、忙しいんですからっ!!」
じたじたと暴れて、彼女は真田の拘束から逃げだす。
そのまま振り返りもせずに、とたとたと走って逃げてしまった。
「あっ!コラ待てっ!……は、はははっ、……ほんと、バカだなぁ…!」
くつくつと、口元を手で覆って真田は笑う。
ひとしきり笑って、そうして、にんまりと――猫のように笑った。
「バカだけど、可愛くなくもないですよ」
少しだけ、又兵衛の気持ちが分かるような――でも分かりたくない。
芯からへそ曲がりだなぁ、と己に苦笑して。
床にポツンと落ちた豆を、そっと拾った。
†
節分過ぎたけど(爆)
「鬼は外」→「鬼のようなる真田」ってことで
今回は又兵衛さん出番なし(笑)
元ネタは、本家さんの双六の話。
まぁ実際は、又兵衛さん双六してないんだけど(笑)
真田さん、性格悪いけど嫌いじゃない。
むしろ、結構好き(笑)
それでは、此処まで読んでいただいて
有難うございましたv
「ん」
ぬっと目の前に出された掌。
何かを要求するその仕草に、むすっと顔を顰めた。
別に、亭主関白で偉そう、とか。
ちゃんと口で欲しいものを言え、とか。
その一言で分かるだろ?って甘えるな、とか。
――そう言うことではない。
「……何て顔してんだ?」
不機嫌極まりない私の顔を見て、又兵衛さんは呆れたような顔をする。
別に、と私。やはり不機嫌な声で言った。
「ただ、嫌だなって思ってるだけです」
「あん?何がだよ」
むっすーっと。あくまでも機嫌の悪い私。子供のように口をとがらせた。
「あと何度、又兵衛さんにこうして槍を渡さなきゃいけないのかな、って」
「はぁ?……そんなことを俺に言われてもな。そもそも戦を始めたのは
俺じゃないし。文句なら、徳川の大御所殿に言っちゃあどうだい?」
「言えるもんなら言いたいですよ。山ほど。てんこ盛り。向こうが
『勘弁してください』って言うほど!」
傍に置いていた、又兵衛さんの槍。
幾度も又兵衛さんと共に出陣し、彼の命を守り、敵の命を狩った槍。
好きにはなれないけれど、感謝する気が全くないわけでもない。
此度の戦も、又兵衛さんを守ってくれるのなら、それで良い。
誰も殺さなくて良い。ただ、又兵衛さんを守ってほしい。
私には長すぎるその柄をぎゅっと握る。
やれやれ、と又兵衛さんの呆れ交じりの溜息が聞こえた。
「今目の前に居ないとはいえ、天下の大御所相手に其処まで言える女。
淀殿を除けば、あんたくらいだろうな」
「何とでもどうぞ!…とにかく私は戦も戦をする奴も気に入らないし、
大っ嫌いだって話ですっ!」
八つ当たりのように喚く。
そんな私を吃驚眼で見つめる又兵衛さん。――が、それも一瞬のこと。
「…へぇ?」
にま、と。
実に意地の悪い――明らかに面白がっている顔で笑った。
「戦をするやつが嫌いってことは。…俺のことも嫌いってわけだ」
「!?っそ、そういう意味じゃなくて!!」
人の揚げ足を取って、にんまりと笑う又兵衛さん。
迂闊にも赤くなった私の顔を見て、更に笑みを深くする。
「そういう意味じゃない、って。じゃあ、どんな意味なんだい?」
「私が嫌いなのは…!嫌い、なのは…!!」
――ああもう。
こうやっていつも意地の悪いことを言う。
言ってほしい台詞、自分は言ってくれないくせに。
私からは聞こうと、いつも意地の悪いことばかりする。
それなのに――
「~っ!!わ、私は戦するやつは嫌いだけどっ、
又兵衛さんは、嫌いじゃないですっ!!」
――こうやって、いつも言わされる。言ってしまう。
「ふぅん…。嫌いじゃない、ね」
にやにやと。してやったりな顔で笑う又兵衛さん。
何て憎たらしい人。意地の悪い男。意地悪な、ヒト。
真っ赤な顔でそっぽを向く私。
その頭に、ぽんっと大きな掌が乗った。
「俺は、あんたのこと好きだけどな?」
「!!?」
「じゃ、コレは貰ってく。……心配しなくても、俺は帰るよ。
何があっても、あんたのところに」
くつくつと笑って、又兵衛さんは私の手から槍を奪う。
するりと抜けたその柄を握って、いつものように
飄々と歩いていった。
「~っ!!…私の方が、大好きだもんっ!!」
黒ずくめの大男。
その背が消えた障子に向かって、小声で叫んだ。
†
背に聴こえてきた小さな声に、くつりと又兵衛は笑った。
「…ったく。何であんなに可愛いかねぇ?」
いつも又兵衛のことを案じてくれる、可愛いヒト。
忍び笑いを隠すよう、掌で顎をゆるりと撫でて。
又兵衛は狭い廊下を歩き始めた。
†
本サイトさんのTop絵が変わっていて。
その又兵衛さんがあまりにも格好良くて好みで、
「ぎゃーっ!!(///▽///)」――ってなったので(落ち着け)
絵の又兵衛さんがね、にやって意地の悪い笑みしてるんです
(※個人の歪んだ見解です。普通にカッコいい笑みです)
なので、ちょっといじめっ子な感じの又兵衛さん話。
既に8弾目です。そろそろ本当にサイトにコーナー作ろうぜ( ̄▽ ̄)
それでは此処までご閲覧いただき、有難うございましたv
ぬっと目の前に出された掌。
何かを要求するその仕草に、むすっと顔を顰めた。
別に、亭主関白で偉そう、とか。
ちゃんと口で欲しいものを言え、とか。
その一言で分かるだろ?って甘えるな、とか。
――そう言うことではない。
「……何て顔してんだ?」
不機嫌極まりない私の顔を見て、又兵衛さんは呆れたような顔をする。
別に、と私。やはり不機嫌な声で言った。
「ただ、嫌だなって思ってるだけです」
「あん?何がだよ」
むっすーっと。あくまでも機嫌の悪い私。子供のように口をとがらせた。
「あと何度、又兵衛さんにこうして槍を渡さなきゃいけないのかな、って」
「はぁ?……そんなことを俺に言われてもな。そもそも戦を始めたのは
俺じゃないし。文句なら、徳川の大御所殿に言っちゃあどうだい?」
「言えるもんなら言いたいですよ。山ほど。てんこ盛り。向こうが
『勘弁してください』って言うほど!」
傍に置いていた、又兵衛さんの槍。
幾度も又兵衛さんと共に出陣し、彼の命を守り、敵の命を狩った槍。
好きにはなれないけれど、感謝する気が全くないわけでもない。
此度の戦も、又兵衛さんを守ってくれるのなら、それで良い。
誰も殺さなくて良い。ただ、又兵衛さんを守ってほしい。
私には長すぎるその柄をぎゅっと握る。
やれやれ、と又兵衛さんの呆れ交じりの溜息が聞こえた。
「今目の前に居ないとはいえ、天下の大御所相手に其処まで言える女。
淀殿を除けば、あんたくらいだろうな」
「何とでもどうぞ!…とにかく私は戦も戦をする奴も気に入らないし、
大っ嫌いだって話ですっ!」
八つ当たりのように喚く。
そんな私を吃驚眼で見つめる又兵衛さん。――が、それも一瞬のこと。
「…へぇ?」
にま、と。
実に意地の悪い――明らかに面白がっている顔で笑った。
「戦をするやつが嫌いってことは。…俺のことも嫌いってわけだ」
「!?っそ、そういう意味じゃなくて!!」
人の揚げ足を取って、にんまりと笑う又兵衛さん。
迂闊にも赤くなった私の顔を見て、更に笑みを深くする。
「そういう意味じゃない、って。じゃあ、どんな意味なんだい?」
「私が嫌いなのは…!嫌い、なのは…!!」
――ああもう。
こうやっていつも意地の悪いことを言う。
言ってほしい台詞、自分は言ってくれないくせに。
私からは聞こうと、いつも意地の悪いことばかりする。
それなのに――
「~っ!!わ、私は戦するやつは嫌いだけどっ、
又兵衛さんは、嫌いじゃないですっ!!」
――こうやって、いつも言わされる。言ってしまう。
「ふぅん…。嫌いじゃない、ね」
にやにやと。してやったりな顔で笑う又兵衛さん。
何て憎たらしい人。意地の悪い男。意地悪な、ヒト。
真っ赤な顔でそっぽを向く私。
その頭に、ぽんっと大きな掌が乗った。
「俺は、あんたのこと好きだけどな?」
「!!?」
「じゃ、コレは貰ってく。……心配しなくても、俺は帰るよ。
何があっても、あんたのところに」
くつくつと笑って、又兵衛さんは私の手から槍を奪う。
するりと抜けたその柄を握って、いつものように
飄々と歩いていった。
「~っ!!…私の方が、大好きだもんっ!!」
黒ずくめの大男。
その背が消えた障子に向かって、小声で叫んだ。
†
背に聴こえてきた小さな声に、くつりと又兵衛は笑った。
「…ったく。何であんなに可愛いかねぇ?」
いつも又兵衛のことを案じてくれる、可愛いヒト。
忍び笑いを隠すよう、掌で顎をゆるりと撫でて。
又兵衛は狭い廊下を歩き始めた。
†
本サイトさんのTop絵が変わっていて。
その又兵衛さんがあまりにも格好良くて好みで、
「ぎゃーっ!!(///▽///)」――ってなったので(落ち着け)
絵の又兵衛さんがね、にやって意地の悪い笑みしてるんです
(※個人の歪んだ見解です。普通にカッコいい笑みです)
なので、ちょっといじめっ子な感じの又兵衛さん話。
既に8弾目です。そろそろ本当にサイトにコーナー作ろうぜ( ̄▽ ̄)
それでは此処までご閲覧いただき、有難うございましたv
「これでも一応、おめでとうと言うべきでしょうか?」
すぐ隣りから聞こえてきた声。
それに視線を寄こすと、少し複雑な顔をした女の顔が映った。
「何の話だ?」
「だって、お正月ですよ。世間では。…和睦も成ったことだし、
一応戦は終結なのでしょう?…だったら、おめでとう、ですよね?」
又兵衛を見上げてくる女。
口調こそ淡々としているものの、その瞳はそれを否定している。
さぁな、と又兵衛は答えた。
「あんたがそう思うなら、それで良いのじゃあないか?」
「…そういう答えは、ずるいです」
女が拗ねたように言う。
一度上げた頭を、再び元の位置――又兵衛の肩へと戻した。
体重と頭を預けるようにもたれかかっても、彼はびくともしない。
暢気に煙管で紫煙を燻らせるばかりだ。
「ずるい、と言われてもな。それ以外に答えようがない」
「それは又兵衛さんも知ってるからでしょう?」
「何を?」
「…またそうやってはぐらかして」
えい、と女は又兵衛の腕を軽く抓る。
痛ぇ、と僅かに顔を顰める又兵衛。
何をするかと見下ろしても、女はただ拗ねた顔で睨むばかり。
結局苦情を言うこともなく、又兵衛は再び煙管をくわえた。
「確かに」
ぷか、と紫煙が燻る。
今では慣れたその煙の向こうで、又兵衛は苦笑を浮かべた。
「この和睦。和議が茶番であることは、誰の目にも明らかさ。
…あの大狸――大御所が、豊臣をこのまま見逃すなんて
絶対にありえない」
「…やっぱり、また…戦に?」
「だろうな。…この平穏も、文字通り『つかの間』さ。
早ければあと数カ月後、此処はまた戦場になる」
遠くでは、外堀を埋める工事の音がする。
内堀は、のらりくらりと作業を遅らせているが。
それも時間の問題であって、大した時間稼ぎにもならないだろう。
それが分かっていても、又兵衛にはどうすることもできない。
所詮彼も豊臣では他所者であり、単なる『牢人』でしかないのだから。
牢人風情の進言を、上の連中がそう易く容れてくれるはずがない。
虚しさと、ほんのわずかな期待――戦場に再び立てる、という
なんとも物騒なそれの中に、浮いているのが関の山だ。
「だったら」
女が言う。
ゆるりと見下ろすと、強い意思を秘めた黒い瞳が又兵衛を見ていた。
「もう戦など起こりませんように。――私は神様にそう祈ります。
新年早々のお願い事です。そのくらい、叶えてくれても罰は当たらない。
…そうですよね?」
もう充分だ。
充分すぎるほど犠牲を払った。――これ以上、何を捧げよと言うのか。
悲痛な願いと祈りを口にして。
女は身をよじると又兵衛の胸へと抱きついた。
名を呼んで見るも、女は何も言わない。ただ、ぎゅっと強く抱きつく。
「…ヒトのことで願い事使ってどうするんだ?…あんたは底なしにお人好しだ」
その願いが叶うには。その祈りが届くには。
たとえ豊臣の全ての財を投じても足りないだろう。
それを知っていても、なお、彼女は祈り、願うのだ。
そんな彼女が心底不憫で、同じだけ愛しくて。
又兵衛は、煙管を置くと両手で彼女を抱きしめた。
「神様が叶えてくれなくても。たとえその戦で俺や皆が死んでも。
俺も皆も救われるよ。――あんたの、その優しい祈りと願いに。
……有難う、祈ってくれて」
堪らなくなって泣きだした彼女の背を優しく撫でながら、
又兵衛はただ、祈った。
どうか彼女だけは。
今年もまた、
幸ある一年を過ごすことができますように。
†
更新がちょっと遅れてるので(><;)
正月一発目の更新が又兵衛さん話。
お正月から暗い話ですみません…(爆)
甘いのとか幸せモードな話は、
いつか本サイトでやりたいなぁと思って…(最低だ)
ええと、需要無い妄想話ですが、
閲覧くださり、多謝です!
すぐ隣りから聞こえてきた声。
それに視線を寄こすと、少し複雑な顔をした女の顔が映った。
「何の話だ?」
「だって、お正月ですよ。世間では。…和睦も成ったことだし、
一応戦は終結なのでしょう?…だったら、おめでとう、ですよね?」
又兵衛を見上げてくる女。
口調こそ淡々としているものの、その瞳はそれを否定している。
さぁな、と又兵衛は答えた。
「あんたがそう思うなら、それで良いのじゃあないか?」
「…そういう答えは、ずるいです」
女が拗ねたように言う。
一度上げた頭を、再び元の位置――又兵衛の肩へと戻した。
体重と頭を預けるようにもたれかかっても、彼はびくともしない。
暢気に煙管で紫煙を燻らせるばかりだ。
「ずるい、と言われてもな。それ以外に答えようがない」
「それは又兵衛さんも知ってるからでしょう?」
「何を?」
「…またそうやってはぐらかして」
えい、と女は又兵衛の腕を軽く抓る。
痛ぇ、と僅かに顔を顰める又兵衛。
何をするかと見下ろしても、女はただ拗ねた顔で睨むばかり。
結局苦情を言うこともなく、又兵衛は再び煙管をくわえた。
「確かに」
ぷか、と紫煙が燻る。
今では慣れたその煙の向こうで、又兵衛は苦笑を浮かべた。
「この和睦。和議が茶番であることは、誰の目にも明らかさ。
…あの大狸――大御所が、豊臣をこのまま見逃すなんて
絶対にありえない」
「…やっぱり、また…戦に?」
「だろうな。…この平穏も、文字通り『つかの間』さ。
早ければあと数カ月後、此処はまた戦場になる」
遠くでは、外堀を埋める工事の音がする。
内堀は、のらりくらりと作業を遅らせているが。
それも時間の問題であって、大した時間稼ぎにもならないだろう。
それが分かっていても、又兵衛にはどうすることもできない。
所詮彼も豊臣では他所者であり、単なる『牢人』でしかないのだから。
牢人風情の進言を、上の連中がそう易く容れてくれるはずがない。
虚しさと、ほんのわずかな期待――戦場に再び立てる、という
なんとも物騒なそれの中に、浮いているのが関の山だ。
「だったら」
女が言う。
ゆるりと見下ろすと、強い意思を秘めた黒い瞳が又兵衛を見ていた。
「もう戦など起こりませんように。――私は神様にそう祈ります。
新年早々のお願い事です。そのくらい、叶えてくれても罰は当たらない。
…そうですよね?」
もう充分だ。
充分すぎるほど犠牲を払った。――これ以上、何を捧げよと言うのか。
悲痛な願いと祈りを口にして。
女は身をよじると又兵衛の胸へと抱きついた。
名を呼んで見るも、女は何も言わない。ただ、ぎゅっと強く抱きつく。
「…ヒトのことで願い事使ってどうするんだ?…あんたは底なしにお人好しだ」
その願いが叶うには。その祈りが届くには。
たとえ豊臣の全ての財を投じても足りないだろう。
それを知っていても、なお、彼女は祈り、願うのだ。
そんな彼女が心底不憫で、同じだけ愛しくて。
又兵衛は、煙管を置くと両手で彼女を抱きしめた。
「神様が叶えてくれなくても。たとえその戦で俺や皆が死んでも。
俺も皆も救われるよ。――あんたの、その優しい祈りと願いに。
……有難う、祈ってくれて」
堪らなくなって泣きだした彼女の背を優しく撫でながら、
又兵衛はただ、祈った。
どうか彼女だけは。
今年もまた、
幸ある一年を過ごすことができますように。
†
更新がちょっと遅れてるので(><;)
正月一発目の更新が又兵衛さん話。
お正月から暗い話ですみません…(爆)
甘いのとか幸せモードな話は、
いつか本サイトでやりたいなぁと思って…(最低だ)
ええと、需要無い妄想話ですが、
閲覧くださり、多謝です!