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日常の一コマや感じたこと。 偏見に満ちたオタク発言とか 二次創作発言などが極めて多し。 良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
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 きっとこれが最後だろう――
 腕に抱く彼女の寝顔を見ながら、そう、確信していた。
 
(……幼い顔だな)

 歳は既に二十歳を超えているという。
 その割に幼い顔立ちをしているように思う。
 ――それとも。
 『人生五十年』と生き急ぐ、俺達の方が老熟しているのだろうか。

(…睫毛、こんなに長かったか?)

 障子越しの月明かりに浮かぶ寝顔。
 改めてしみじみと見つめて、新たに発見した。
 しっとりと汗ばんだ顔。
 震えるような睫毛。
 俺を逃がさないと言いたげに、着物を握る、小さな手。

 ――間違った、とどこかで思った。

 最初から死ぬことは分かっていた。
 もう此処は、俺達のような男が生きていく世界じゃない。
 武辺者が夢見て走る世界じゃない。
 能吏がのし上がっていく世界。
 そんな世界では、俺たちは生きていけない。
 ――だから、此処に。大坂に来たのに。

 どうしようもなく、惚れてしまった。
 どうしようもなく、愛おしく思ってしまった。
 
 生きたい、と言う言葉が、脳裏をかすめた。
 
「う……ん……」
 
 彼女が僅かに顔をしかめた。
 起きてはいない。
 だが、思考を読まれたようで、少しだけ焦った。

「……俺は、もう、此処には戻ってこない」

 囁くように口にして、頬を撫でた。
 今度は擽ったそうな顔をする。――愛しい、嬰児の様な顔。

「だが、正直……。正直言えば、あんたのことだけが、心残りだ」

 行く末を共に。
 そう夢見たい。でもそれは叶わない。――俺が自分で叶えない。

「あんただけは、死んでほしくない。幸せになってほしい。
 俺の分までなんて言わない。ただ、あんたが幸せでいてほしいんだ」

 無理を言う。――分かってる。
 幸せになってほしかったら、気持ちに。
 想いに応えるべきでは無かったのに。
 ――だが。

「俺は幸せだったよ。人生の最後で、あんたに出逢えた」

 自分勝手な幸せを、許してほしい。
 俺は十分幸せだった。これ以上は、もう要らない。
 彼女のぬくもりだけを抱いて、そうして、逝ける。

 穏やかに眠り続ける彼女。
 最期の最期。往生際悪く。

 俺は彼女を、強く抱きしめた。





   †
五月十日。で後藤さんなので(待て)
昨日の又兵衛さんサイドの話と言うか。
二日続けて死にネタもアレだと思い、前夜の話に。
…微妙に死にネタやん(汗)>自分
で、でもまだ道明寺前夜だし!(言い訳)
また改めて、甘いの書くかサイトに開設します!(ヲイ)
昨日と揃って読んでいただき、有難うございました!
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