忍者ブログ
日常の一コマや感じたこと。 偏見に満ちたオタク発言とか 二次創作発言などが極めて多し。 良く分からないと言う方は、回れ右推奨です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 最近、彼女の様子がおかしい。
 ――と言って、具体的に「何がどうだ」とは言えないのだが。
 しいて言えば「不機嫌」なのだろう。
 目が合えば、一応笑う。会釈をする。――でもそれだけ。
 話しかければ、一応応える。冗談に笑う。――でも愛想笑い。
 意図的なのか、無意識なのか。
 俺には量りかねるが、ともかく、彼女は「不機嫌」らしい。


「何も聞かないんですね」

 ぽつり、と彼女が唐突に呟いた。
 何のことかなど、考えるまでもない。
 いつだってそのことを考えているのだから。
 だが、それを直接問うことはしなかった。
 妙な意地の張り合いだと、自分でも笑ってしまう。

「何のことだ?」
「…。分からないなら、良いです」

 とぼけた顔に、彼女は顔を顰める。
 何か言いたそうな顔をして、結局踵を返してしまった。

「…何なんだよ、一体」
「――鈍いなぁ」

 独り言に相槌が返って、少し驚いた。
 振り返ると、俺よりずっと背の低い。けれど彼女よりは高い、
 団右衛門がいた。ニヤニヤしながら俺を見上げている。

「…団右。盗み聞きとは趣味が悪いぞ」
「人聞きの悪い。廊下は公共の場所だろ?聴こえただけだよ」

 にぃっと。悪戯小僧の笑みで笑って、団右衛門は俺に一歩近づく。
 そうして、ぐい、と胸を張るようにして俺を見上げた。

「天才軍師も、女心はからっきしだね。――彼女、妬いてんだよ」
「……はぁ?」
「あ、その顔は『心外な』って言いたそうだな。でも、そりゃあお門違いだ。
 ――彼女は間違いなく妬いてるよ。……薄田と、遊女の話、してたろ?」
「遊女?……昔の話だろ。そんなの」

 悪い男ではないが、女の話じゃ事欠かない薄田と、ほんの少し。
 戯言程度に話をしていただけで、後ろめたいことは無い。
 そう言うと、「鈍いなぁ」と団右衛門は再度言った。

「昔だろうと今だろうと。惚れた男のことなら知りたいのが女心さ。
 昔のことに目くじら立てるのは、あんまりにも狭量だと。
 分かっていてなお、拗ねちまうんだ。可愛いもんじゃないか」
「……」
 
 そういうものだろうか?
 それなら、直接言えば良いのに。なぜ何も言わない?

「何も言わないのは、又兵衛も同じだと思うけどね」

 心を読んだように、団右衛門が言う。相変わらず、悪童の笑みで。

「何でそんな拗ねてるんだ?って。聞けばいいじゃないか。
 お互い黙ってるんだったら、年長者の方。男の方が折れてやれよ」
「……。あんた、意外と誑しだな」

 何だか妙に悔しいので、そう言ってやった。
 団右衛門は、にぃっと得意げに笑う。

「そりゃそうさ。僧形にあって、刀を常に持ち歩くような。
 そんな生臭坊主だったんだぜ?女に縁が無い方がおかしいだろ?」

 そう言って、生意気な生臭『元』坊主は笑った。
 礼を言うのも癪なので。
 後ろ手に手だけ振って、俺は彼女の消えた方へと歩き出した。




   †
何となく又兵衛さんと、塙ちゃんとの話(笑)
こういう話は、真田より塙ちゃんの方が向いてそうだなぁと。
シバリョの塙ちゃんなら、色恋沙汰も詳しそう(笑)
まぁ、モテ男な薄田さんの方が、もっと詳しそうだけども(笑)
それでは、此処まで読んでくださって有難うございました!
PR
Comment
Name
Title
Mail
URL
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment
Pass   コメント編集用パスワード
 管理人のみ閲覧
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[03/12 生存者R]
[12/09 Rです(`▽▼)]
[10/14 Rですψ(●▽´)ψ]
[04/10 Rです(六▽ ̄;)]
[01/05 Rです(六▽ ̄;)]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
アクセス解析
Copyright ©  -- DailyLife --  All Rights Reserved
Designed by CriCri Material by 妙の宴
忍者ブログ  /  [PR]